こんにちは、Nameck(なめっく)です。
今日のテーマは生きがいについてです。
現代では、「生きがい」をなかなか見出すことが出来ず、「自分の人生の意味・意義とは何だろう」と思い悩む人が増えています。
・生きがいを感じられるのは裕福な人のことでしょ?
・生きがいを見つけるためにはどうすればいいの?
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こういった思いに答えるために、次のことを深掘りして解説していきます。
【この記事で学べること】
- そもそも心理学的な生きがいとは?
- 生きがいを感じるために豊かさは必ずしも必要ない理由
- どのようにすれば生きがいを感じられるのか?
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しかし、「生きがい」とはいったいどのようなもので、どうすれば見つけられるのかご存じですか?
本ブログの内容は、科学的に分析された心理学論文の情報に基づいています。
それでは、さっそく「生きがい」について学んでいきましょう!
そもそも心理学的な生きがいとは?
生きがいとは生きる意味や人生の価値などとも言い換えることが出来ますが、心理学的には「生きがいを感じる対象」と「その対象に関わる感情や認知」を含む概念として捉えられています。
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例えば、「仕事が生きがいだ」と一生懸命仕事に打ち込み、いきいきと楽しみながら過ごしている人がいたとしましょう。
このとき、この人が生きがいといっている「仕事」は次のようなものを指しています。
- 生きがいを感じる対象・源泉となる仕事そのもの
- 仕事をすることで得られる楽しみや充実感などの感情、認知
このように「生きがい」とは、本人にとって望ましい対象とそれによって得られる感情や認知を含んだ広い概念なのです。
面白い映画を見ているときは確かに楽しいし、見終わった後充実感があるけど、それは私にとって生きがいではないと思う…
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それでは生きがいはどのような基準によって決まるのでしょうか?
生きがいを構成する中心的な6つの要素
心理学研究から、生きがいは次の6つの中心的な要素から構成されることが分かっています。
【生きがいの中心要素】
- 人生肯定:人生全体に対する満足感
- 目標・夢:人生を通した目標やかなえたい夢がある
- 人生の意味:生きる自信を持ち、何のために自分が生きているのか見失わない
- 存在価値:自分が存在していることに価値を感じている状態
- 生活の充実感:生活に新鮮さや張り合いをもたらす
- コミットメント:時間を忘れて熱中している
仕事が生きがい、子育てが生きがい、仕事終わりのビールが生きがいなど何を生きがいとするのかは人によって大きく異なるでしょう。
しかし、生きがいという概念は「人生の目的」や「人生の意義」など、個人の人生にとって非常に大きな意味を持っているものです。
「仕事終わりのビールが生きがい」ビールを飲んだことによって人生の目標が達成されたり、自分が存在している価値を感じることはないでしょう。
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これに対し、子育てが生きがいと感じられる場合はどうでしょうか?
子どもを育てることは、幸せな家庭を築くという人生の目標を叶えることや子どもから必要とされることで自分の価値を再確認したり、子どもとの時間に熱中して過ごすという点で生きがいの中心要素に当てはまると考えられます。
このように、心理学的な生きがいを得られるものは「生きがいの中心要素」を満たすものであることが重要な基準となるのです。
生きがいを感じるために必ずしも豊かさは必要ない理由
生きがいを感じるためには豊かさは必要ありません。
その理由は、豊かさとは真逆の強制収容所という過酷な環境において生きがいを見出した精神科医フランクルの理論に求めることが出来ます。
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そして、ロゴセラピーという彼独自の心理学理論の中で、人生の意味の類型として次の3つの価値を提唱しました。
【フランクルによる3つの価値】
- 創造価値:仕事や家庭など何かを作り上げ、与えることによって実現される価値
- 体験価値:何かを体験したり、誰かを愛することのなかに意味を見つけ実現される価値
- 態度価値:置かれた環境に対して、自分自身が態度を決めることで実現される価値
私たちの「仕事」というものは社会的な需要がある、つまり誰かの役に立つ社会貢献性を持っており、これに打ち込むことは創造価値に該当します。
また、美しい芸術作品を見たり、大自然に囲まれることは私たちに感動や癒しをもたらしますが、このような体験価値のあるものも私たちに生きがいをもたらすのです。
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例えば、重い病気に苦しみ、余命はあとわずかという状況があったとしましょう。
その人には病気を治すという選択肢は存在せず、遠くない未来死が訪れるという事態はコントロールできませんが、その残された自分の運命を受け入れ、どのように過ごすのかという自由は残されています。
ある人は自分のやり残したことに嘆き、死が近づく自分の人生に絶望するかもしれません。
しかし、残された人生を自分らしく生きようと現状を受け入れれば、愛する人に囲まれ、一日一日を大切に生きがいのある余生を送ることが出来るはずです。
このように、自分の置かれている状況が豊かであるかどうかではなく、その状況において、生きがいの源泉となる対象を見つける姿勢が、生きがい感の獲得につながると言えるでしょう。
どのようにすれば生きがいを感じられるのか?
私たちは苦しいとき、ネガティブな状況にあるときにつまり、生きがいを感じることが出来ないときこそ、生きがいについて考えたり、生きがいを求めることが研究で示されています。
おそらく「自分は何のために生きているんだろう」や「何を生きがいに生きていけばよいのだろう」と思い悩んでしまっている方の多くはネガティブな状況にいる人でしょう。
ネガティブな状況では、これまで楽しめていたものを楽しめないなど、生きがいの源泉となる対象が少なくなってしまいます。
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熊野(2005)では、ネガティブなライフイベントがあった人は、過去の良かったことを思い出すのではなく、より良い未来を思い浮かべると生きがいが生じることが示されています。
そのため、ネガティブな状況にあるときこそ、成功するイメージを抱いたり、自分がワクワクするようなことを頭に思い浮かべるべきなのです。
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次の記事では楽観性とは何か、そして楽観性はどのようにして高められるのかについて詳しく解説しています。
まとめ:生きがいは探すものではなく見出すもの
今回は人生の意義・価値=生きがいについて解説してきました。
記事のポイントをまとめます。
- 心理学的な生きがいは「生きがいを感じる対象」と「その対象に関わる感情や認知」を含む概念
- 豊かでなくても生きがいを見出すことは出来る
- ネガティブな状況ではポジティブな未来をイメージすることで生きがいを感じられる
【参考文献】
- 熊野道子(2006)『生きがいとその類似概念の構造』健康心理学研究 19 (1), 56-66
- 牧野智恵(2012)『病いを生きる人間の価値実現に関する考察 V.E.フランクル理論における「三つの価値」に焦点を当てて』石川看護雑誌 9 141-150
- 熊野道子(2005)『生きがいを決めるのは過去の体験か未来の予期か?』健康心理学研究 18 (1), 12-23