こんにちは、Namack(なめっく)です。
今日のテーマは楽観性とストレスの関係です。
楽観性の高いポジティブ志向な人はメンタルヘルスが良好だと言われていますが、それにはストレスへうまく対処できるという特徴があることが指摘されています。
このような疑問を解消していきます。
【この記事で学べる事】
- 楽観性が高い人の精神的健康の特徴
- ストレスへの対処法である「コーピング」
- 楽観性とコーピングの関係性
それでは、さっそく楽観性とストレスの関係性について見ていきましょう!
楽観性が高い人の精神的健康の特徴
楽観性が高い人はメンタルヘルスが良好であることが研究でも明らかにされています。
この精神的健康を考えるとポジティブな性質のものとネガティブな性質のものに分類することが出来ます。
- 幸福感などポジティブな心理的要因の高さ
- 抑うつや不安などネガティブな心理的要因の低さ
幸福感の高さ
これは想像に難くないですが、楽観性の高い人は幸福感が高いことが研究によって示されています。
楽観性が幸福感に結びつく理由としては、主に次の2つが挙げられます。
【楽観性が幸福感に結びつく理由】
- ポジティブ感情を経験しやすいから
- 良い結果を得られやすいから
これは、「きっと上手くいくだろう」というイメージを抱いているときに誇りや感謝、安堵などのポジティブな感情を抱きやすいのです。
「仕事が上手くいきそう」、「楽しい休日を過ごせそう」などと肯定的な未来をイメージしているときに私たちは充実感を経験します。
また、楽観性の高い人は勉強や仕事など課題のパフォーマンスが高いため、幸福感が高くなります。
楽観性が高い人は、多少、目標達成を妨げる要因あったとしても、問題を乗り越えて成功することが出来ると信じるため、粘り強い取り組みを促し、結果として望んだ結果が得られやすいのです。
この問題わからないし、つまらないから、もういいや!
どうせ、テストで良い点とれないし!
この問題難しいな…。
でも、この問題を解けるようになればテストでも良い点が取れるから頑張ろう!
このようなメカニズムで成功体験を多く経験することが出来るため、楽観性の高い人は幸福度が高いと考えられているのです。
ストレスへの耐性
楽観的な人が幸福感、つまりハッピーな状態になりやすいのはもちろんですが、実はネガティブな感情が生じにくく、ストレスに強いという特徴もあるのです。
しかし、これには、2つの可能性が考えられます。
- 問題そのものから逃げてしまい解決をしない、いわゆる能天気な人
- ストレスフルな出来事にも正面から向き合う、いわゆる前向きな人
そして、楽観性の高い人は、後者に分類されるということが研究で明らかになっています。
これまでは楽観性がストレス耐性が高い理由として、「問題が解決できる」と肯定的な結果を予想し、粘り強く取り組むためであるという説明がなされてきましたが、近年はストレスコーピングの使い方に特徴があることが分かったのです。
ストレスとコーピングとは
楽観性が高い人はストレスコーピングを適切に用いることが出来るために、ストレスに上手く対処し、良好なメンタルヘルスを維持します。
そもそも心理学的なストレスとは
それでは、心理学的なストレスとはいったいどのようなものなのでしょうか。
一般的にストレスと呼ばれる「いらだちを感じる出来事」は心理学的にはストレッサーと呼ばれます。
これに対し、ストレッサーによって引き起こされるいらだちや抑うつ、不眠、食欲不振など心身の反応をストレス反応と呼びます。
そして、ストレッサーとストレス反応を巡る一連の過程のことを「ストレス」と言うのです。
ストレスとは次の2つを含む一連の過程のこと!
- ストレッサー:個人にとって不快な刺激
- ストレス反応:ストレッサーにより生じる心身の反応
ストレスへの対処法「コーピング」
嫌な出来事が起こることで、イライラしたり、具合が悪くなったりする。
これは日常的な感覚でも分かることでしょう。
その通りです。
人はストレッサーに曝されたからといって、誰もにストレス反応が生じるわけではありません。
この理由はストレスへの抵抗力に個人差があるためです。
ストレスへの抵抗力は「コーピング」と呼ばれる要因によって説明することが出来ます。
現在、心理学的に広く支持されているストレス理論では、ストレッサーに曝された後、適切なコーピングを実施することが出来れば、ストレスは生じないとしています。
コーピングの種類
ストレス解消のためにカラオケで歌う、お酒を飲むなどの対処法を行う人も多いはずです。
実は、これもコーピングに該当します。
しかし、一般的なストレス解消法は、心理学的に望ましいコーピングであると考えられていません。
そもそもコーピングにはいくつか種類がありますが、大きく次の2つに分けることが出来ます。
-
- 問題焦点型コーピング:ストレッサーそのものに働きかける
- 情動焦点型コーピング:ストレッサーに対する受け止め方を工夫する
一般的なストレス解消法とは、気晴らしと呼ばれる情動焦点型コーピングです。
このような、自分の気分を直そうとする情動焦点型コーピングは、一時的にいら立ちなどの不快な状態を軽減することが出来ます。
しかし、問題そのものは解決していないため、ストレッサーに曝され続けることになり、あまり望ましいコーピングであるとは考えられていません。
【論文紹介】楽観性とコーピングの関係
結論からお伝えすると、楽観的な人はストレッサーの優先度に合わせてコーピングを使い分けることが出来るため、精神的健康が高いことが明らかとなっています。
- 情報収集:問題となる出来事に関する情報を集める
- 計画立案:集めた情報を基にどのように解決するべきか計画を立てる
- 肯定的解釈:問題のもたらす良い面を考え、プラスにとらえる
- なんでだったのかな?(情報収集)
- この後どうやって上司に接したり、仕事のミスを挽回しようかな?(計画立案)
- 怒られたけどこれで自分の直すべきところが分かって成長できたな(肯定的解釈)
このようなコーピングから…
とストレス反応を示すことなく、適応できるのです。
実はそうではありません。
そのため、重大な問題には問題焦点型コーピングで問題の原因を改善し、些細なトラブルには情動焦点型コーピングを使って問題と心理的な距離を置くなどの問題の重大性に合わせ優先順位をつける必要があるでしょう。
【論文】楽観性と悲観性がコーピング方略に与える影響
渡辺・長谷川(2017)の「楽観性と悲観性がコーピング方略に与える影響 ―重要性の異なる2場面を設定した上での検討―」では、楽観的な人は重要度の高い場面において問題焦点型コーピングを用いる一方で、重要度の低い場面では問題焦点型コーピングをそこまで行わず、省エネのコーピングを行うことが示されています。
逆に些細な問題には、それほどコーピングに力を使わない!
つまり、この研究結果から楽観性の高い人は、次のような特徴を持っていると言えるでしょう。
- 解決しなければならない問題:その問題を解決するために積極的に取り組む
- 解決しなくても構わない問題:問題への取り組みはほどほどに抑える
これによって、楽観的な人は無理なくストレスに対処し、精神的健康度を保つことが出来るのです。
まとめ
今回はなぜ楽観性とストレスの関係について深掘り解説をしてきました。
記事のポイントをまとめます。
- 楽観的な人は、精神的健康度が高い
- その理由は、幸福感とストレス耐性の高さにある
- 楽観的な人は、ストレス耐性のカギとなるコーピングの使い方が上手い
【参考文献】
- 橋本京子・子安増生(2012)『楽観性とポジティブ志向が幸福感に及ぼす影響』心理学評論 55 (1), 178-190
- 外山美樹(2014)『特性的楽観・悲観性が出来事の重要性を調整変数としてコーピング方略に及ぼす影響』心理学研究 85 (3), 257-265
- 渡辺将成・長谷川晃(2017)『楽観性と悲観性がコーピング方略に与える影響 ―重要性の異なる2場面を設定した上での検討―』カウンセリング研究 50 (2), 73-80