こんにちは、Nameck(なめっく)です。
今回のテーマは子どもが不登校になってしまった時に親ができることについてです。
自分の子どもが不登校になってしまったからといってもう何もできないと諦めてしまうのは早いかもしれませんよ。
・不登校の子どものために親ができることはないのかな?
こういった疑問に答えるために、次のポイントを解説していきます。
【この記事で学べること】
- 不登校の子どもに必要な愛着とは
- 親の持つ愛着スタイルが子どもに与える影響
- 安定した愛着をつくるために親ができることとは
本ブログの内容は、科学的に分析された心理学論文の情報に基づいています。
それでは、さっそく子どもが不登校になってしまった時に親ができることについて学んでいきましょう!
不登校の子どもに必要な愛着とは
不登校になってしまった子が立ち直るためには親から愛情を受けることが必要です。
このような愛情のことを心理学的には「愛着」と呼びます。
心理学での愛着の発見
「長年使っているカバンに愛着がある」などと日常的に使われる「愛着」ですが、心理学では次のような意味で使われます。
人間の赤ちゃんは他の動物と異なり、非常に未熟な状態で産まれます。
そのような未熟な赤ちゃんが育つために備わっているのが、愛着というシステムです。
未熟な赤ちゃんはおむつを交換してほしい、お腹が空いたなど危機的状況に陥ると泣きます。
すると、保護者はその声を聞くとすぐに来て、必要な世話をするのです。
このような、赤ちゃんにとって必要な当たり前のことを繰り返すことで徐々に子どもと親の間に信頼関係が生まれてきます。
愛着の種類
愛着は子どもとの信頼関係の質によって4つのスタイルに分けることが出来ます。
愛着のタイプ | 特徴 |
回避型 | 親への関心が強くなく、一人でも平気。 |
安定型 | 親へ関心が強く、親と離れてしまうと大きな不安や寂しさを感じる。 |
アンビバレント型 | 親への愛情が強すぎるあまり、離れるときに強く抵抗し、再会した際には置いていった母親を責める |
無秩序・無方向型 | 愛着が一貫せず、自分から近寄りながらも拒否するような愛着の混乱が見られる |
この中でも、無秩序・無方向型と呼ばれる不安定な愛着は、虐待を受けている子どもなどに多いとされており、精神的健康が損なわれる重大なリスク要因だと考えられています。
愛着が発達に与える影響
愛着は人間関係の基礎となるため、発達やその人らしさの個性に大きな影響を与えます。
生後間もないころから5歳ごろまでの間に子どもと親の間で形成された愛着はイメージとしてこころの中に定着します。
そして、その関係が世の中一般の人に対するイメージとなるのです。
例えば、安定してしっかりとした愛着があれば、世の中の多くの人は信頼できると心を開きやすいでしょう。
また、安定した愛着はこころの中に安心感をもたらします。
そのため、しっかりとした愛着を形成することが出来れば、物理的に親から離れても不安にならず過ごすことが出来ます。
こうして親から離れることで、自分が興味を持ったものを自由に探索することが出来るようになります。
愛着と不登校の関係
愛着は不登校と関係することが心理学研究から明らかになっています。
しかも、子どもの持つ愛着のスタイルだけでなく、親が持つ愛着スタイルも不登校や子どもに大きな影響を与えるのです。
子どもの愛着スタイルと不登校
子どもが不安定な愛着スタイルを持っている場合、学校への不適応と関連することが分かっています。
前項でも説明した通り、子どもの持っている愛着は人間関係の基礎となり、その人らしさに繋がってきます。
それだけでなく、持っている愛着のスタイルは学校への適応に影響を与えることが心理学研究からわかっているのです。
五十嵐・萩原(2004)の研究では中学生480人を対象に、幼少期に父母に対して形成された愛着のスタイルと不登校傾向の関連を検討しています。
その結果、不安定な愛着を持っていると不登校傾向が高くなるという関連が見られたのです。
それでは、愛着はどのように不登校に関連してくるのでしょうか。
愛着は親に対する信頼感とも言い換えられます。
子どもは学校で親と離れながらも、安定した愛着があることで探索基地としての機能を果たし、何か困ったことがあれば親に相談したり、必要な援助を求めることが出来ます。
姜・河内(2010)は、親への愛着と学校への適応の関連を調べています。
その結果、親に対して安心感や親密さを感じている安定した愛着が不足すると学校適応度が低下するということが示されたのです。
安心感と親密さはそれぞれ次のような機能を持っています。
- 安心感:不安を生じにくくさせる
- 親密さ:物事に積極的にかかわる姿勢をつくる
親に対し安定した愛着、つまり十分な安心感と親密さを備えている関係性を築けていなければ、子どもは学校でクラス替えなどの環境の変化があったときに不安を感じてしまいます。
また、十分な親密さが欠けていれば学校での課題や集団活動でも積極性を発揮することが出来ません。
そして困ったことがあると、相談行動の積極性の乏しさから周囲に相談することが出来ず、困りごとを一人で抱え込んでしまいます。
このようなことから、安定した愛着を持てていない子どもは学校で不適応に陥りやすいのです。
親の愛着スタイルと不登校
愛着は信頼関係であり、子どもと双方向のコミュニケーションによって形成されます。
そのため、親がどのような愛着のスタイルを持っているのか、どのような接し方をするのかは子どもの愛着や不登校にもつながってくると考えられています。
一般的に親自身も不安定な愛着スタイルを持っていることは子どもの不適応や不登校に繋がりやすいことが指摘されています。
小西(2016)は親の愛着スタイルや養育行動が子どもに与える影響を検討しています。
その結果、親が持つ愛着の「安心感」が十分に機能していないときに、子どもが不安や怒りなどネガティブな感情を矮小化しようとすることが分かっています。
そして、こうした関わりは、子どもの依存性を高めたり、協調性を低めてしまいます。
そのため、親と離れることが不安で学校に行けない(依存性の高さ)ケースや学校で馴染めないから行きたくない(協調性の低さ)ケースなどが出てきてしまう可能性があるでしょう。
安定した愛着をつくるために親ができることとは
愛着は基本的に形成できる期間が決まっていると考えられていました。
この時期を過ぎてしまうと、スムーズに愛着を形成することは出来ないわけです。
そんなことはありません。
あくまで、時間がかかったり、かかわり方にコツが必要になりますが、安定した愛着を結びなおすことは可能です。
そして、その関わりはなるべく早く行うべきであると考えられています。
それでは具体的にどのようなかかわりをするべきなのでしょうか。
安心できる関係性を作るための8つのポイント
子どもにとって一番の愛着対象となるのは親です。
そのため、子どもが安心することが出来るかかわりが最も望ましいと考えられています。
具体的には次のようなポイントを意識すると良いでしょう。
- 目を合わせる
- 笑顔で接する
- 明るく、静かに語り掛ける
- 行動を具体的に褒める
- 子どもに感謝の気持ちを言葉にして伝える
- 行動や結果ではなく、意図や気持ちを受け止める
子どもに明るく接し、些細なことでも感謝の気持ちを伝えられていますか?
褒めたり、感謝したりする場面が見当たらないと困る人もいるかもしれません。
しかし、そのような人は子どもに対する期待が高いと言えます。
寝坊せず起きれた、ご飯を残さず食べられた、簡単なお手伝いをしてくれたなど日常には子どもを褒めたり、感謝する場面が転がっています。
「そんなの当たり前のこと」だと決めつけず、素直に今子どもが出来たことを評価して接するように心がけましょう。
このような温かな接し方は「ソーシャルサポート」とも呼ばれています。
ソーシャルサポートについては次の記事で詳しく解説しているので興味のある方は是非読んでみてください。
学校以外の居場所を見つける
子どもの愛着において最も重要となる人は親であることは間違いありません。
しかし、成長によって子どもの愛着の対象は友達や兄弟、恋人など徐々に広がってくると言われています。
小学生の時期に該当する児童期からのアタッチメントネットワークには母親・父親だけでなく、友達や兄弟などで構成されることが確認されています。
学校で友達と過ごし、アタッチメントネットワークを形成できないことは大きな機会損失になってしまうでしょう。
そのため、不登校で学校にいけないのであれば、第3の居場所を見つけるべきだと言えます。
学校ではない新しい場所で友達や先生と信頼関係を築くことが出来れば学校で身に着けるべき力も育むことが出来るのです。
まとめ:子どもと信頼関係を築く接し方が重要
今回は不登校の子どものために今から親は出来ることについて解説しました。
記事のポイントをまとめます。
- 不登校の子どもには愛情を与え、安定した愛着が必要
- 不安定な愛着を持つことと不登校には密接な関係がある
- 今からでも親が適切に対応することで安定した愛着を形成できる
【参考文献】
- 五十嵐哲也・萩原久子(2004)『中学生の不登校傾向と幼少期の父親および母親への愛着との関連』教育心理学研究 日本教育心理学会教育心理学研究編集委員会 編 52 (3), 264-276
- 姜信善・河内絵理(2010)『親への愛着が子どもの学校適応に及ぼす影響について : 親への安心・親密の観点から』富山大学人間発達科学部紀要 4 (2), 1-15
- 小西優里絵(2016)『親のアタッチメントスタイルと養育行動が子どもの行動特性に与える影響 』 保育学研究 54 (2), 83-94