【なぜ不登校に?】心理学的な不登校のメカニズムと原因を知ろう

不登校・引きこもり
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こんにちは、Nameck(なめっく)です。
今回のテーマは不登校の原因についてです。

お子さんが「学校に行けない」という状況は、とても心配ですよね。

そして、冷静さを保つことが難しくなってしまうでしょう。

・うちの子って不登校なのかな?

・どうして不登校になっているのか知りたい

・不登校から立ち直るためにはどうすればいいの?

サイ子さん
サイ子さん

こういった思いに答えるために、次のポイントを解説していきます。

【この記事で学べること】

  • そもそも不登校の定義とは
  • 心理学的な不登校の原因とメカニズム
  • 不登校から立ち直るために必要な5つの要因
Nameck(なめっく)
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大学に行けないという経験がある僕が、不登校の原因を詳しく解説していきます!

本ブログの内容は、科学的に分析された心理学論文の情報に基づいています。

それでは、さっそく不登校の原因について学んでいきましょう!

不登校の定義とは

不登校の原因について知る前に、まずは不登校とはどのようなものなのかについて知っておきましょう。

文部科学省によれば、不登校とは次のように定義されています。

【不登校の定義】
何らかの心理的・情緒的・身体的あるいは社会的要因・背景により、子どもが登校しない、あるいはしたくてもできない状況にあるため、年間30日以上の欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの

つまり、やむを得ない事情を除き、1年間で30日以上学校を休んでいる場合には、「不登校」となるわけです。

このような定義から考えると次のようなグレーゾーンも考えられます。

・保健室登校をあわせれば、1年で学校に行っていないのは30日以下だな…

・行き渋りがあって遅刻は多いけど、何とか学校には行けているな…

サイ子さん
サイ子さん

この不登校の定義には実は続きがあり、文部科学省は次のような留意事項を示しています。

以前に示した定義が参考になるものの、不登校かどうかの判断は各学校や教育機関に委ねる。そして、先の基準に合致していなくともその傾向がある児童・生徒も対象とする。

Nameck(なめっく)
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つまり、不登校の傾向がみられる場合もその対象に含まれる可能性は十分にあり、その判断は学校に任せるとされているのです。

「学校に行きたくない」という登校回避感情は、不登校へ移行するリスク要因の1つと考えられており、心理学研究で注目を集めています。

不登校をより良く理解するためには、登校回避感情について学ぶことも大いに役立つでしょう。

不登校は病気か?

結論からお伝えすると、不登校は病気ではありません。

しかし、その背景には精神障害が隠れている可能性も否定できないため注意は必要です。

例えば、人と会うことを恐怖する「社交不安障害」を抱えているケースが考えられます。

学校でクラスメートや先生と会うことを怖がり学校へ行けなくなってしまうのです。

そのほかにも発達障害の特性から対人関係でトラブルを抱え不登校になるケースもあります。

Nameck(なめっく)
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しかし、このようなケースはあくまで一部に過ぎず、「不登校になった=精神障害かもしれない」と決めつけてしまうことは危険です

不登校の人数はどれくらいいるの?

文部科学省による最新のデータによれば、全国には24万4940人の不登校の児童・生徒がいるとしています。

Nameck(なめっく)
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割合にしてみてみると全児童・生徒数に対し約2.5%となっていますが、この数字を多いと思いますか?少ないと思いますか?

2.5%という数字はとても少ないように思えますが、1クラス40人学級に対し、1人は不登校がいるということになります。

つまり、不登校はどのクラスにもありうる身近な不適応状態であることが分かるでしょう。

心理学的な不登校原因とメカニズム

不登校の原因について調べていると、よく次のような原因が示されます。

【不登校の7つのタイプ】

  • 学校生活上の影響の型
  • 遊び・非行型
  • 無気力型
  • 不安など情緒的混乱の型
  • 意図的な拒否の型
  • 複合型

このタイプ分けは文部科学省のものですが、このタイプ分けに当てはまるケースはそれほど多くありません。

その理由は、様々な要因が重なることで不登校という行動になって表れるためです。

そのため、このようなタイプ分けで原因を見つけようとしても、なぜ不登校になったのかをしっかりと理解することは出来ません。

学校ストレスと不登校の公式

どうして子どもが学校に行かないのか。

その答えは学校で起こる嫌なことに本人が耐えられないからです。

【不登校の公式】
不登校=学校ストレスの高さ×ストレス耐性の低さ

不登校の子に関わらず「学校に行きたくないなぁ」と思うことは日常的にあるはずです。

・明日マラソン大会があるから行きたくない…

・昨日、先生に怒られたから学校行きづらいなぁ…

サイ子さん
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つまり、誰しもが「学校に行きたくない」と思うのは、普通のことなのです。

それでは、不登校の子とそれ以外の子を分けるのは何なのでしょうか。

Nameck(なめっく)
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それが、不登校の陥りやすさである「ストレス耐性」です。

そこで次の画像を見てみて下さい。

例えば、学校でひどい「いじめ」を受けて、学校でのストレスがとても強い場合、いくら耐性を備えていたとしても不登校になってしまいます。(左上黄色の領域)

逆に、「学校の勉強がめんどくさい」のような、学校でのストレスがそれほど強くない場合でも、耐性が低ければ不登校になってしまうのです。(右下赤色の領域)

Nameck(なめっく)
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そのため、不登校の原因として本人のストレスになっている出来事だけに注目しても何の解決にもなりません。

例えば、友達関係のトラブルで不登校になってしまい、教員に友達づくりの機会を作ってもらうよう働きかけ、子どもが一度は学校に行くようになったとしましょう。

しかし、ストレス耐性の低さは何も変わっていないため、不登校は改善しません。

サイ子さん
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・学校の先生が怖いから

・勉強が分からなくてつまらないから

このような、新たなストレスとなる出来事を理由に、また不登校に陥ってしまうでしょう。

不登校につながりやすいストレス場面

それでは、学校生活においてどのようなことが子どもにとってストレスフルなのでしょうか。

長根(1991)によれば、小学校でのストレスは次の4つに分類されています。

  • 対人関係のトラブル
  • 授業中の発表
  • 学業成績
  • 失敗

友人関係のトラブル

学校生活で起こりがちなのが次のような友達とのトラブルです。

お友達に無視されたなどの人間関係のトラブルや、学校の先生に注意されたことが怖いなどのことが代表的です。

重大ないじめに発展しているなどを除き、人間関係のトラブルは誰しもが避けて通ることができません。

そのような問題をどのように乗り越えるかが成長において大切となります。

しかし、対人関係上必要なスキルなどが不十分な場合、問題を解決できず学校へ行きたくなくなってしまうのです。

授業中の発表

人前で発表することが苦手な人もいます。

例えば、授業中に先生に指されることや国語の音読をクラスメートの前で行うなどが挙げられます。

みんなの視線が集まって頭が真っ白になってしまったり、「上手く発表できなかったらどうしよう」と不安になることを苦痛に感じてしまうのです。

学業成績

学校の成績が分かるときもお子さんにとってストレスになりうる場面として挙げられます。

例えば通知表をもらう前にや次の日にテストがあるときなどです。

このとき、子ども達は「悪い成績を取って怒られないだろうか」と考えてしまいます。

また、自分が思った通りの結果にならなかったときに「自分はダメな奴だ」と自己評価を下げてしまうのです。

失敗

学校での失敗もお子さんにとってストレスになります。

例えば、授業中にとんちんかんなことを言ってしまった、先生に怒られたなどがあるでしょう。

本来、幼少期は数多くの失敗をして、そこから学ぶことで成長をしていくものです。

しかし、些細に思える失敗を引きずってしまうことで、学校へ行くことが怖くなってしまうのです。

不登校から立ち直るために必要な5つの要因

いじめを受けている、担任の先生の関わり方が明らかに不適切などあまりにも強い学校ストレスが原因となっているケースでは、そのストレスを取り去れば良いだけです。

しかし、明確かつ深刻な不登校の原因が分からないという状況では、「ストレスに負けないこころ」を作る働きかけが大切になってきます。

そのようなストレス耐性の高い「こころ」には次の5つの要因が大切です。

  • 自尊感情
  • レジリエンス
  • 自己効力感
  • 社会的スキル
  • ソーシャルサポート

自尊感情

自尊感情は「ありのままの自分を受け入れる感情」のことを指しています。

Nameck(なめっく)
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そして、不登校に陥ってしまった子どもの自尊感情は低下した状態にあることが心理学研究で明らかとされているのです。

自尊感情は、精神的健康を保つことや不適応行動を少なくするうえで重要な要因であるとされてきました。

そして、不登校から立ち直ることにおいても、自尊感情は重要な要因の1つであると注目されているのです。

自尊感情と不適応の関連については次の記事で詳しく解説しています。

レジリエンス

レジリエンスとは、ストレスへの抵抗力のことです。

より詳しく説明すると「ストレス状態にさらされることで一時的に心理的不健康に陥っても、そこから立ち直る力」と定義されます。

「友だちと喧嘩してしまった」や「苦手な科目のテストがある」など学校ではストレス多くのストレスに曝されます。

しかし、そのようなストレスに曝されたとしても、しっかりとしたレジリエンスがあれば前向きに乗り越えることが出来るのです。

Nameck(なめっく)
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レジリエンスと不登校の関係は次の記事で詳細に解説しています。

自己効力感

自己効力感とは、ある行動を「上手く出来るだろう」と考える確信の程度のことです。

簡単な言葉にすれば、「上手くいく自信」とも言い換えられるでしょう。

この自己効力感は学校ストレスへの抵抗力として非常に重要です。

自己効力感が低ければ、テストの前日に「0点を取ってしまうかも」と不安になってしまいます。

また、友達と喧嘩してしまい「仲直りできず、仲間外れにされてしまうかも」と考えてしまうでしょう。

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特に不登校状態は学校環境から離れてしまう期間があるため、自信を失いがちです。

そのため、不登校から立ち直るためには自己効力感も養うようにしなければならないでしょう。

自己効力感については次の記事で解説しています。

ソーシャルスキル

ソーシャルスキルは、良好な対人関係を築くためのコミュニケーション能力のことです。

そのため、ソーシャルスキルが欠けている場合は友達や教員とのトラブルが起こりやすく、学校不適応につながりやすいことが指摘されています。

現に、粕谷・河村(2004)では、不登校群は一般群に比べて自尊感情とソーシャルスキルが低いレベルにあることが示されています。

ソーシャルスキルは友達との遊びの中で学ぶことのできる能力です。

しかし、不登校になってしまうと、ソーシャルスキルを学ぶ友達との遊びの場が奪われてしまいます。

そのため、もともと低いソーシャルスキルを学ぶ場を失ってしまい、問題が長期化しやすいのです。

不登校の問題とソーシャルスキルの関連については次の記事で詳細を解説しています。

ソーシャルサポート

ソーシャルサポートとは、周囲にいる様々な人から得られる心理的あるいは実体的な援助のことを指します。

ソーシャルサポートはストレス反応を低減させることが出来る社会資源として知られています。

しかし、不登校児はソーシャルサポートが低いということが明らかとなっています。

そのため、不登校状態の改善には十分なソーシャルサポートを受けられる環境を整えることが大切だと言えるでしょう。

不登校の解決のためにソーシャルサポートがいかに大切なのかは次の記事で詳しく解説しています。

まとめ:不登校の原因を探るときには子どものこころの状態に目を向けましょう

今回は不登校の原因とメカニズムについて解説してきました。

記事のポイントをまとめます。

  • 学校に行けていない状況である不登校は、病気ではないものの、1クラスに数人はいる規模の非常に身近な問題
  • 不登校は、学校ストレスの強さと本人のストレス耐性の低さによって引き起こされるため、子どものこころの状態にも目を向けるべき
  • 不登校から立ち直るために必要な要因は「自尊感情」・「レジリエンス」・「自己効力感」・「ソーシャルスキル」・「ソーシャルサポート」の5つ

【参考文献】

プロフィール
この記事を書いた人
Nameck

国立大学に進学も、なじむことが出来ず引きこもりに…。
そんな中で心理学と出会い、知識0の状態から独学で臨床心理士指定大学院に合格。
心理学を学びたいけど、ハードルの高さを感じている人の役に立ちたくて心理学情報を発信中。

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