こんにちは、Nameck(なめっく)です。
今回のテーマは学校に行きたくない理由についてです。
お子さんがなぜ「学校に行きたくない」という気持ちを抱えてしまっているのか分からない方も多いでしょう。
・なぜ学校行きたくない気持ちになるの?
・学校へ行きたくない気持ちを和らげるためにはどうすればいいの?
こういった疑問に答えるために、次のポイントを解説していきます。
【この記事で学べること】
- 心理学的な学校に来たくない気持ちとは
- 学校へ行きたくなくなる理由
- 学校行きたくない気持ちを軽減するための方法
本ブログの内容は、科学的に分析された心理学論文の情報に基づいています。
それでは、さっそく学校に行きたくないという子どもの気持ちについて学んでいきましょう!
心理学的な学校に来たくない気持ちとは
心理学では「学校へ行きたくない」という気持ちを登校回避感情という言葉で表します。
登校回避感情は次のような気持ちを指しています。
この定義にもあるように、学校に行きたくないと思うのは何も実際に不登校の子どもに限った話ではありません。
不登校のグレーゾーンとしての登校回避感情
登校回避感情は不登校のリスク要因の1つとして考えられています。
心理学研究では「学校に行きたくない」という気持ちを感じる頻度が高いほど、遅刻や早退から欠席行動へと移行しやすいことが示されています。
みなさんも子どものころに一度は「学校に行きたくないなぁ」と思ったことはあるでしょう。
・友達と喧嘩しちゃったから学校行きづらいなぁ…
このように普段学校に通っている子どもも登校回避感情は感じています。
いじめを受けていて、あまりにも強く「学校に行くのが嫌だ」という気持ちを抱えているケースなどは別ですが、登校回避感情を持つことは自然なことです。
しかし、それを日常的に感じるようになると、不登校に陥るリスクが高まるのです。
学校に行きたいけど行けない子
実際に学校を欠席する不登校の子は登校回避感情が高い傾向にあることを説明してきましたが、不登校の子の中にはこのようなの子もいるのではないでしょうか。
病気などやむをえない理由による欠席は不登校の要件から外れます。
そのため、自分から学校を休んでいるのにもかかわらず、「学校に行きたいのに」と言われると混乱してしまうのも無理はありません。
この時、その子の「学校に行きたい」についてよく考えてみましょう。
このようなときの「行きたい」という言葉は、自分の本当の気持ちではありません。
・学校に行きたくないと正直に言うと怒られたり、失望されるかも…
このように他者の目を気にするため、不登校という現象を「学校に行きたくても行けない」と表現します。
しかし、学校に行けていないという事実がある以上、何らかの学校に行きたくない理由があるはずであり、それを聞いていくことから始めていくべきでしょう。
学校へ行きたくなくなる理由
学校へ行きたくなくなるのは、心理的ストレスによって引き起こされます。
心理学的には、登校回避感情が引き起こされるメカニズムは「学校ストレスモデル」という理論を参考に説明されます。
学校ストレスモデルと登校回避感情
ストレス理論では登校回避感情がストレス反応として生じると考えます。
そもそも心理学的なストレス理論とは次のような順に説明されます。
- 外からの刺激(ストレッサー)に曝される
- その刺激が自分にとってネガティブなものか判断する
- ネガティブな刺激に対する対処を行う
- 対処が不十分の場合、ストレス反応が生じる
私たちは日常的にストレスという言葉を使っています。
例えば「残業がストレス」のように、自分にとって嫌なものを「ストレス」と表現しますが、実はそれは「ストレッサー」と呼ばれる外界からの刺激です。
そして、次にそれが自分にとってネガティブなものなのかを判断します。
「先生に怒られた」という場面で、「理不尽だ」と思えばネガティブなものになりますが、逆に「自分の為を思って言ってくれたんだ」と思えばその後の対処などは起こりません。
次にストレスに対する対処が行われます。
代表的なものとしては、ストレスコーピングやソーシャルサポートが挙げられます。
そして、その対処では不十分だった場合のみストレス反応が生じます。
ストレス反応はとても多彩な症状があり、不眠などの生理的反応から、暴力・引きこもりなどの行動的反応を含みます。
そして、その心理的な反応の1つが「学校に行きたくない」という登校回避感情なのです。
登校回避感情を生じさせる要因
登校回避感情は様々な要因で生じるものです。
屋良・淡野(2019)の研究では、登校回避感情は次のような要因で引き起こされるとされています。
- 気分・疲労
- 学校不安
- 孤独感
- 家庭問題
- 学校外誘引
- いじめ
気分・疲労
疲れているときや気分が乗らないときは学校に行くのが面倒に感じます。
例えば、眠たいときや疲れているとき、登校の準備が面倒なときなどが挙げられます。
このような疲労や気分には生活習慣の乱れが関係しているでしょう。
秋元ら(2017)の研究によれば、次のような生活習慣の乱れは登校回避感情と関連があることが示されています。
- 朝食を食べない
- 間食を毎日とっている
- テレビを3時間以上見ている
- ゲームの利用時間が30分以上2時間未満である
- 睡眠不足を感じている
- 目覚めの気分が良くない
- 外遊びが嫌い
- 体調に不安がある
この中でも特に朝食を食べない、目覚めの気分が良くないことは登校回避感情と関連が強いことが示されています。
朝食を食べることは日中の活動のエネルギーを蓄えるうえで非常に重要です。
また、生活習慣の乱れから睡眠の質が低下し、目覚めが良くないと疲れが残ってしまうため、学校に行きたくなくなってしまうのです。
学校不安
学校で起こることに対して不安を抱いているときにも学校に行きたくなくなってしまいます。
この要因には友達関係から勉強までと非常に幅広い出来事が含まれます。
例えば次のようなものが挙げられるでしょう。
- 宿題や提出物が終わっていないとき
- 先生に叱られたとき
- 友だちと喧嘩したとき
- 嫌いな教科があるとき
- テストがあるとき
このように学校で嫌なことや苦手なことがあるときには学校に行きづらくなってしまうのです。
孤独感
学校で居場所がなく、孤独を感じているときには行きたくないものです。
例えば次のようなものが挙げられます。
- 学校に居場所がないと感じるとき
- 気の合う友達がいないとき
- 仲の良いグループに入れないとき
学校で仲の良い友達と過ごすことが出来れば、「学校が楽しい」と思えるものですが、逆に孤独な状況では苦痛を感じてしまいます。
友だちを作ったり、グループの中に入るための対人スキルが乏しい場合は孤独を感じ、学校がつまらないと思ってしまうでしょう。
家庭問題
学校に行きたくない理由は実は家庭の問題が関係しているかもしれません。
- 家庭内で嫌のことがあったとき
- 家庭内がごたごたしているとき
家庭内の問題と一言で言っても、様々なケースがあります。
例えば、親子間、兄弟間などの家庭不和や両親との死別・離婚などが挙げられます。
本来、子どもにとって家庭は安心して過ごすことのできる居場所ですが、このような家庭内に問題がある場合は、子どもに強いストレスが生じます。
その結果、疲弊してしまい学校へ行く気力が削がれてしまうのです。
学校外誘引
学校の外にやりたいことがある場合にも学校に行きたくなくなります。
例えば、次のようなケースが挙げられます。
- 友だちが一緒に休もうと言ってくるとき
- 面白いテレビ番組があるとき
- 出かけたいところがあるとき
いわゆるずる休みと呼ばれるものです。
やりたいゲームがあるから、見たいテレビがあるからなどの理由で学校に行くのが面倒に感じること自体は不思議ではありません。
ただ、これを理由に学校へ行かなくなってしまうようになれば、本人の欲求のコントロールや家庭での規律、生活習慣の確立などに問題がある可能性が高いでしょう。
いじめ
いじめる子がいるとき、友達に悪口を言われ続けているなどのいじめの被害に遭うと学校に行きたくなくなってしまいます。
この場合は、本人に改善不可能なケースであることがほとんどであるため、周囲の大人が適切な対応を行ってあげる必要があります。
学校行きたくない気持ちを軽減するための方法
登校回避感情はどの子どもにも起こりうるものであるため、完全になくすことは出来ないでしょう。
ただ、不登校の子が登校回避感情を感じている頻度が高いという、時には「学校に行きたくない」と思うことはあっても、その頻度を少なくするべきです。
登校回避感情は学校ストレスモデルによるストレス反応に該当するのでした。
そのため、元となるストレスに対処することが出来れば、登校回避感情も軽減できるでしょう。
- レジリエンス
- ソーシャルサポート
レジリエンス
レジリエンスとは、ストレスフルな状況に負けず、その状況に適応する心理的な力のことであり、ストレス耐性の1種です。
レジリエンスが低いことは、ストレスへの弱さを意味します。
そのため、些細な出来事にもストレス反応が生じてしまい、「学校へ行きたくない」という気持ちが出てきてしまうのです。
特に不登校児には必要な心理的要因のため、レジリエンスを育てる接し方が大切です。
ソーシャルサポート
ソーシャルサポートは、周囲の人から得られるアドバイスや励ましといったサポートのことを指します。
このソーシャルサポートはストレス軽減の効果があることが分かっており、不登校から立ち直るためにカギとなる概念です。
この周囲の人には友達や学校の先生、スクールカウンセラーはもちろん、不登校の子どもの一番そばにいる親も含まれます。
ぜひ適切なソーシャルサポートを実践して、不登校の子どものストレスを軽減しましょう。
まとめ:登校回避感情を軽減させましょう
今回は不登校児の抱える「学校に行きたくない」という気持ちを心理学的に解説してきました。
記事のポイントをまとめます。
- 不登校児は多くの子が感じている登校回避感情を感じる頻度が高いことが問題。
- 登校回避感情は様々な要因から引き起こされるストレスによって生じる。
- ストレス軽減の効果を持つ心理的要因を育み、登校回避感情を感じる頻度を下げるべき。
【参考文献】
- 屋良皇稀・淡野将太(2019)『児童の登校を巡る意識に関する研究』琉球大学教育学部紀要 (95) 57-63
- 秋元雅弘・関根道和・山田正明・達瀬隆(2017)『小学生の就学回避感に関連する要因:文部科学省スーパー食育学校プロジェクト結果 』日本甲州 栄成雑誌 64 (6), 311-321
- 土田まつみ・三浦正江(2011)『小学校におけるストレス・チェックリストの予防的活用 : 不登校感情の低減を目指して』カウンセリング研究 44 (4), 323-335