こんにちは、Nameck(なめっく)です。
今回のテーマは自信と不登校関係についてです。
不登校から立ち直り、また学校へ行くためには「自信」を取り戻さなければなりません。
この自信と呼ばれるものは心理学的に「自己効力感」と呼ばれています。
・自信をつけることは不登校とどのように関連しているの?
・子どもに自信をつけさせるためにはどうすればよいの?
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こういった思いに答えるために、次のポイントを解説していきます。
【この記事で学べること】
- 自信=自己効力感とは
- 自信と不登校の関連とは
- 自信をつけるために必要なものとは
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本ブログの内容は、科学的に分析された心理学論文の情報に基づいています。
それでは、さっそく不登校と自信の関係について学んでいきましょう!
心理学的な自信=自己効力感とは
心理学的な自信は自己効力感と呼ばれています。
自己効力感は1970年代にバンデューラという学者によって提唱されており、健康に過ごすために欠かすことのできない心理的要因として古くから注目されてきました。
自己効力感とは次のように定義されています。
個人の行動遂行能力に対する確信の程度のこと
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それでは詳しく解説していきます。
人間の行動を決定する要因
バンデューラの理論によれば、人間の行動は次の2つの要因によって決定されるとしています。
- 結果予期:自分の行動がどのような結果をもたらすかという予測
- 自己効力感:その行動を自分はうまく行えるかという予測
例えば、起業という行動を例に挙げて考えてみましょう。
会社員で働いている方、ご家庭は多いと思いますが、起業をすれば収入や上司との人間関係など会社員の抱える多くの悩みをクリアすることが出来るでしょう。
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結果予期はポジティブなものだとしても、現に多くの人はそれほど「起業」という行動はとっていないでしょう。
それは、多くの人は「企業」に対して高い自己効力感を有していないからです。
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これは不登校においても同じです。
いくら学校に行かないと将来必要な知識や社会性が学べないという行動によってもたらされる結果を知っていても、自己効力感が低ければ不登校になってしまうのです。
自信をつけることで得られるメリット
自己効力感を得ることで次の4つの結果が生じることが心理学研究で示されています。
【自己効力感で得られる結果】
- 行動の達成
- 達成に向けた努力
- 似た場面での達成
- 生理的・心理的変化
行動達成
自己効力感が高さは、パフォーマンスに直結します。
自己効力感が高いほど、取り組む課題を達成する確率が高まるのです。
達成に向けた努力
自己効力感が高い人がハイパフォーマンスなのは、自己効力感が努力を促すからです。
自己効力感が高いほど、目標としている行動に挑戦しようとすることが研究で分かっています。
逆に、自己効力感が低ければ努力はあまりしなくなってしまうでしょう。
似た場面での達成
自己効力感が高い人は、努力し、それによって成功を経験しやすいのです。
そして、その成功場面で得られた自信は、よく似た場面でも機能します。
つまり、成功体験を積み重ねることによって、似た場面でも「きっと上手く出来るだろう」と自信を持ち、同じように努力します。
これがどんどん広がることによって自分が出来ること、得意なことの幅が広がっていくのです。
生理的・心理的変化
自己効力感は生理的、心理的な健康度にも関係します。
自己効力感が低ければ、「上手くいかなかったらどうしよう」と不安や教具が強く現れるとされます。
逆に自己効力感が高いと、不安や恐れは低く、それに伴って心拍数や血圧が安定するとされています。
自信が性格まで根付いた特性的自己効力感
様々な成功体験を重ねると、似た領域にも自信は波及していきます。
そして、それが広がっていくことで、あらゆることにも自信を持って取り組める自信のある性格が出来上がってきます。
これを特性的自己効力感と呼びます。
特性的自己効力感は一度の失敗で自信を失ってしまうような不安定さはありません。
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そのため、不登校状態から立ち直るという目標のためには、特性的自己効力感を高めることが求められるでしょう。
自信と不登校との関連とは
不登校の子どもは自己効力感が低いということは古くから指摘されてきました。
その理由は、不登校のうち、実際に教室への登校を避けようとする「登校回避行動」を抑制するうえで効果的だからです。
福良・中地(2022)によれば、自己効力感によって「登校回避行動」が抑制するうえで有効であるという結果を示しています。
そもそも、不登校傾向は次の2つから構成されています。
- 登校回避感情
- 登校回避行動
登校回避感情とは「学校に行きたくない」という気持ちのことです。
ただし、この登校回避感情は不登校児に限ってみられるものではありません。
皆さんも学生の頃このような気持ちになったことはありませんか?
・今日はテストがあるけど、勉強をあまりしていないからやりたくないなぁ…
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登校回避感情は、学校に通っている子どものほとんどが感じているものであるとされています。
ただし、あまりにも強い登校回避感情を感じている場合は、登校回避行動へと繋がり不登校状態となってしまうでしょう。
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つまり、不登校から立ち直るためには、自己効力感を高め、登校回避行動を抑えることが大切になります。
それに加え、登校回避感情も抑制するための他のサポートも組み合わせて用いると良いでしょう。
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自信をつけるために必要なものとは
それでは、不登校から立ち直るために大切な自己効力感を高めるためにはどうすれば良いのでしょうか。
自己効力感の提唱者であるバンデューラは自己効力感を高めるためには次の4つの情報源が大切であると指摘しています。
- 成功体験
- 言語的説得
- 代理的体験
- 情動的喚起
成功体験
自己効力感を高めるうえで最も大切なのが成功体験です。
難しい問題を一人で解けた、鉄棒で逆上がりが出来るようになった、書道で金賞に選ばれた。
様々な課題がありますが、このような自分で行動して成功したという体験をもととした自己効力感は最も強く、安定した自己効力感になるとされています。
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特性的自己効力感にまで根付くことが出来れば、失敗経験はそれほど自己効力感の低下に影響しないと言われています。
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ただし、不登校状態のお子さんは自己効力感が低かったり、不安定なことが予想されます。
ただ、失敗を恐れ、チャレンジをしなければ成功体験を得ることは出来ないでしょう。
そのようなときに大切になるのが、他の情報源です。
言語的説得
言葉の力によって自己効力感は高められます。
自己効力感を高めるためには、「励まし」のような言葉かけが大切です。
お子さんが初めての経験に戸惑っているときに、「大丈夫だよ」と励ましの言葉をかけることもあると思いますが、これは自己効力感を高めるという効果があるのです。
また、緊張しているときに「自分なら成功できる」と自己暗示をかける人もいますが、これも自己効力感を高めるためなのです。
ただし、言語的説得で高められる自己効力感はあくまで一時的なもので不安定です。
現実的に困難に直面すると、励ましによって高められた自己効力感はたやすく消失してしまうのです。
そのため、失敗を恐れてチャレンジが出来ない子どもの背中を押すときのような補助的な手段と考えましょう。
代理的体験
人間の学習は観察によっても生じることが知られています。
これを観察学習もしくはモデリングと呼びます。
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例えば、兄弟がいたずらをして怒られている場面を目撃した場合、怒られている兄弟と同様に、目撃した本人にも怒られる原因となったいたずらをしないようになります。
逆に、クラスメートがお友達を手伝って褒められているところを見た場合には、その子と同様に手伝いをする頻度が増えるのです。
この観察学習の効果は自己効力感においても生じるとされています。
さらに、成功場面の目撃は自身のモチベーションを高めます。
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これは自分にも同じようなプレーができるだろうという自己効力感とモチベーションが高まることによって引き起こされています。
ただし、不登校の場合は、周囲の成功体験を目撃する機会に乏しいことが現実です。
そのため、学校以外の居場所に行き、成功体験を目撃する機会を設けるようにすることが良いでしょう。
情動的喚起
自己効力感は、心拍数や血圧、赤面などの生理的反応と深いかかわりを持っています。
人前で発表するときに緊張して顔が赤くなったり、心臓がドキドキすることもあるでしょう。
これは不安を感じているときに身体に生じる反応ですが、このような手掛かりは自己効力感を下げたり弱めたりする要因であるとされています。
このようなときには深呼吸をして、身体の緊張を緩める方法を教えてあげると、自己効力感の低下を抑えることが出来るでしょう。
自己効力感×ソーシャルサポート
このほかにも自己効力感を高めるためにはソーシャルサポートが重要であるいうことが研究で指摘されています。
ソーシャルサポートとは、周囲の人々から得られる社会的な支援のことです。
ソーシャルサポート自体、不登校から立ち直るために重要な心理的要因の1つなのですが、自己効力感を高めることが研究でも示されています。
藤井(2021)では、周囲から多くのソーシャルサポートを受けることは、小学校生活の不安が和らげ、自己効力感を高めるという機能を持つことが示されています。
そして、数あるサポートの中でも家族からのサポートが特に自己効力感を高めるうえで重要な機能を果たしていたのです。
そのため、子どもの自己効力感を高めるためには、成功体験とソーシャルサポートがカギを握っていると言えるでしょう。
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まとめ:自信をつけて、脱不登校の一歩を踏み出しましょう
今回は不登校の子どもが自信をつけることの重要性を解説してきました。
記事のポイントをまとめます。
- 心理学的な自信は「自己効力感」と呼ばれ、「自分がうまくやれる」という自信の程度を表す
- 不登校状態は自己効力感が低くなっているため、自己効力感を高めるべき
- 自己効力感を高めるためには成功体験とソーシャルサポートが効果的
【参考文献】
- 福良傑・中地展生(2022)『性格特性および一般性自己効力感と不登校傾向との関連 : 大学生サンプルを対象として』帝塚山大学心理科学論集 5 45-52
- 江本リナ(2000)『自己効力感の概念分析』日本看護科学会誌 20 (2), 39-45
- 三宅幹子(2001)『特性的自己効力感が課題固有の自己効力感の変容に及ぼす影響 』広島大学 博士 (心理学) 甲第2357号
- 藤井義久(2021)『児童の自己効力感を高める心理的支援の在り方に関する実証的研究 : 小学校生活不安尺度の開発を通して』岩手大学教育学部研究年報 80 125-135