【没頭=幸せ】ポジティブ心理学の重要概念「フロー」を徹底解説

ポジティブ心理学
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こんにちは、Nameck(なめっく)です。
今日のテーマはポジティブ心理学の重要概念である「フロー」です。

時間を忘れるほど何かに没頭したとき、人間は幸福に近づいているとされています。

・フローっていったいどんな概念?

・どうしたらフロー状態になれるの?

・フローがなぜ幸福と結びつくの?

サイ子さん
サイ子さん

こういった思いに答えるために、次のことを深掘りして解説していきます。

【この記事で学べること】

  • チクセントミハイによるフローとは?
  • フロー状態に入るための方法
  • フローが幸福に結びつくメカニズム
Nameck(なめっく)
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スポーツ選手が集中力を研ぎ澄まし、ゾーンに入る現象などが取り上げられることもありますが、このような没頭状態はより広く生活場面に当てはまることが指摘されています。

本ブログの内容は、科学的に分析された心理学論文の情報に基づいています。

それでは、さっそくフローについてについて学んでいきましょう!

チクセントミハイによるフローとは

フローとは、ミハイ・チクセントミハイという学者によって提唱された概念で、ポジティブ心理学の中でも核となる重要概念として注目されています。

Nameck(なめっく)
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それでは、さっそくフローとはどのような意味なのかを見ていきましょう!

フローの定義とは

フローは次のように定義されています。

【チクセントミハイによるフローの定義】
1つの活動に深く没入しているので他の何ものも問題とならなくなる状態、その経験それ自体が非常に楽しいので、純粋のそれをするということのために多くの時間や労力を費やすような状態。
それってつまりどういうこと…?
サイ子さん
サイ子さん
皆さんも「興味のある分野の勉強をしていたら、ついのめりこんで、一日が終わっていた」などの深い没入経験はありませんか?
人は深く没頭すると、時間経過を忘れたり、多くの時間や労力を費やすことを苦に感じなくなります。
Nameck(なめっく)
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このような「集中しすぎるがあまり、つい」という状態がフローでなのです!

フローの特徴

チクセントミハイはフロー状態にある人の研究から、フロー状態には次のような特徴があることを見出しました。

【フローの持つ特徴】

  • 自分がしていることへの集中
  • 深いけれど、無理のない没入状態
  • 行為と意識の融合
  • 自分の行為をコントロールしているという感覚
  • 自分についての意識は消失し、体験後には自己感覚が強く現れる
  • 時間の感覚が変わる、数時間が数分のうちに過ぎる。
Nameck(なめっく)
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集中や没入についてはあまり疑問はないでしょうが、「行為と意識の融合」と「自分の行為をコントロールしている感覚」には少し補足を加えておきましょう。

行為と意識の融合は、「行為の意識を意識していない状態」と言えます。

いや、いきなり分からない…
サイ子さん
サイ子さん

私たちは慣れないことをするときに、行動の手順を1つずつ意識しています。

例えば、パソコンのキーボードでの文字入力に慣れていない人は、文章を打つためにいちいち次に押すキーを探しながら文章を作るでしょう。

Nameck(なめっく)
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これは「どの指でどのキーを押したら良いのか」という行為の意識を強く意識して作業をしており、集中状態と真逆の状態となっています

これに対しフロー状態では、キーボードを押す行為について強く意識せずとも自然に作りたい文章のために必要なキーボード入力を行うことができ、思い通りに文章を作っていけるという「自分の行為をコントロールしている感覚が生じるのです。

Nameck(なめっく)
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また、退屈なアルバイトをしているときは「まだ5分しか経っていない」など、時間の経過を遅く感じた経験のある人も多くいるのではないでしょうか?

これに対し、楽しみながら集中できているフロー状態では気が付いたらあっという間に時間が経っていたという現象が生じます。

そして、作業を終えたら「あー、お腹が空いた」などのそれまでは感じていなかった自分についての意識が強く感じられるのです。

要するに、フロー状態は普段感じている時間経過や自分についての意識を感じなくなるほど、その行為のことだけしか頭に浮かんでいない深い集中状態なのね!
サイ子さん
サイ子さん

フロー状態に入るための方法

結論、フロー状態に入るためのカギとなる条件は項目であると言われています。

【フロー状態に入るための条件】

  • 能力と難易度のバランスが取れている

私たちは簡単すぎる作業については、退屈を感じてしまいます。

これは自分の能力に対して、課題の難易度が低すぎる状態です。

逆に、課題が難しすぎるときはどうでしょうか。

これまた、難易度が高すぎると作業が上手く進まず、ストレスを感じ、嫌になってしまうでしょう。

この難易度と能力のバランスを縦軸と横軸で表現すると次のような関係になります。

Nameck(なめっく)
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この図でフローの領域となっているのは、「自分の能力に対して少し難しいけど、何とかやり切れる」という能力と難易度のバランスが取れている状態です!

なかなかフロー状態に入れないという場合はこのバランスが取れていないことが考えられます。

そのため、自分の能力にあった課題を選んでみる、もしくは求められるレベルまで自分の能力を高めてから課題に取り組むことが大切となるのです。

フローが幸福に結びつくメカニズム

それでは、フローはなぜポジティブ心理学でも重要な概念とされているのでしょうか。

Nameck(なめっく)
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それは、フローのもたらす短期的な効果と長期的な効果に由来します。

【フローのもたらす効果】

短期的効果 幸福感を感じられる
長期的効果 人間的成長につながる

短期的な効果

フロー状態では、自分に対する意識を忘れるほど目の前のことに集中しています。

そのため、熱中している間に幸福感を感じられないでしょう。

しかし、フロー状態では、悩みや不安などネガティブな状態からも解放されています。

皆さんも我を忘れるほど集中し、頑張った後には、心地よい疲れと充実感を感じたという経験はないでしょうか。

Nameck(なめっく)
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このように、深く没頭し、のめりこんだ経験はその直後に短期的な幸福状態をもたらすのです。

そして、個人の能力と課題の難易度が高くなるほど、このフローがもたらす効果は大きくなるとされています。

ある研究では、難易度と能力が平均よりも高水準でのフロー体験のほうが次のような効果が高く現れることを報告しています。

  • 集中力
  • 楽しさ
  • 幸福感
  • 活動度
  • 自分に対する満足感
  • コントロール感

長期的な効果

フロー状態に入るための条件でもお話ししましたが、フロー状態では「課題の難易度と個人の能力のバランス」が取れている状態です。

このようなギリギリ成功できるような少し上の難易度にチャレンジし、成功する体験は個人の限界を引き上げ、能力を養う機会となります。

こうして能力が引き上げられると、フロー状態に入るために見合った課題の難易度はさらに高められます。

Nameck(なめっく)
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このようにして、フローを何度も経験できる生活を繰り返すことでフローのもたらす幸福感も強まり、長期的な成長へもつながる好循環を作ることが出来るのです!

まとめ:没入できる幸せは人を成長させる

今回はポジティブ心理学の超重要概念であるフローを取り上げました。

記事のポイントをまとめます。

  • フローとは、楽しさを感じながら深く課題に没入した状態
  • 課題の難易度と能力のバランスがフローを起こすためのカギ
  • フローは短期的な幸福感と長期的な成長という好循環を引き起こす

【参考文献】

  • 前野隆司(2017)『実践 ポジティブ心理学 幸せのサイエンス』PHP研究所
  • 中野明(2020)『ポジティブ心理学入門: よりよい人生を生きるためのルール』FLoW ePublication
  • 大森駿哉・片山順一『行動・生理指標を用いたポジティブ感情の機能や状態の解明 : 拡張-形成理論とフローを中心として』人文論究 66 (1), 51-68
プロフィール
この記事を書いた人
Nameck

国立大学に進学も、なじむことが出来ず引きこもりに…。
そんな中で心理学と出会い、知識0の状態から独学で臨床心理士指定大学院に合格。
心理学を学びたいけど、ハードルの高さを感じている人の役に立ちたくて心理学情報を発信中。

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