こんにちは、Nameck(なめっく)です。
今日のテーマは「感謝」についてです。
簡単な取り組みで幸せになることが出来れば、そんな良いことはないと思いませんか?
・そもそも親切にされることが苦手…
・「ありがとう」って心の中で思うだけで十分なの?
こういった思いに答えるために、次のことを深掘りして解説していきます。
【この記事で学べること】
- 幸せに繋がる感謝の効果とは?
- 「ありがとう」が素直に言えない人の特徴
- 感謝を言葉にして伝えたほうが良い理由
本ブログの内容は、科学的に分析された心理学論文の情報に基づいています。
それでは、さっそく感謝が持つ効果について学び、生活のなかに「ありがとう」を増やしていきましょう。
幸せに繋がる感謝の効果とは?
感謝はポジティブ心理学においても適応的な感情として注目されており、次のような効果があることが知られています。
【感謝の持つ効果】
- 幸福感の向上
- 他者のための行動の増加
- ストレス低下
幸福感の向上
心理学研究では、「ありがとう」をたくさん言えば、幸福感が高まることが示されています。
しかし、こう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
確かに感謝を扱った研究の多くでは、感謝の経験と幸福感に正の相関があることしか示されておらず、感謝するから幸せになるのか、幸せだから感謝しやすくなるのかがよくわかっていませんでした。
しかし、2003年にエモンズトとマクロフという学者は次のような条件で実験を行いました。
週に1度、次の条件に合った出来事を振り返る。
- 感謝グループ:ありがたかったこと
- いらいらグループ:いらいらしたこと
- 統制群:印象に残ったこと
この生活を9週間送った後、「人生がどの程度喜ばしいか」、「これからの1週間がどの程度喜ばしいか」、「健康状態」、「運動した時間」について尋ねました。
その結果、感謝グループは他の2群よりも「人生・これからの1週間が喜ばしいものである」と考え、健康状態の不調の訴えが少なくなったのです。
また、ポジティブ心理学の創始者であるマーティン・セリグマンは、感謝の手紙を書いて、本人に直接渡しに行く「感謝の訪問」実験を行いました。
その結果、若かったころの思い出を紙に書き出す群よりも主観的な幸福感が高く、幸福感が1か月と長期間にわたって持続することが分かったのです。
他者のための行動の増加
感謝は人の道徳的な行動も促進することが分かっています。
ある実験では、サクラからの援助を受けた人は、その後手伝いを依頼されると快く引き受けやすくなることが示されています。
また、別の研究では、ありがたかったことを思い出した人は、イライラしたことを思い出した人よりも困っている人を慰めたり、助けやすくなることが示されています。
感謝によって、他者への援助行動が増えるのであれば、より良好な人間関係が増えていくことに繋がります。
こうしたこともあり、感謝は幸せに繋がりやすいのです。
ストレス低下
感謝は主観的な幸福感の向上や良好な対人関係を構築するための望ましい鼓動を促すなどポジティブな作用を引き起こすだけでなく、ネガティブな要因を弱める効果もあるようです。
災害や事故に巻き込まれた人は強いストレスを感じ、心身に不調をきたす人も少なくありません。
しかし、そのような逆境の状況でも、自分自身や周囲の家族や友人の無事を感謝することは、ストレスからの回復力(レジリエンス)を高めたのです。
「ありがとう」が素直に言えない人の特徴
中には、親切なことをしてもらうこと自体が苦手な人もいるでしょう。
そのような人には、次のような特徴があります。
- 「申し訳なさ」を感じてしまう
- お返しをしなくてはいけない「義務感」を感じてしまう
「申し訳なさ」を感じてしまう
親切な行為に対して、つい、このような言葉を口にしてしまっていませんか?
すみません!
これは相手に親切にしてもらったとき、「相手に気を遣わせてしまって・労力をかけさせてしまって、申し訳ない」という気持ちが含まれているのです。
特に日本人が感謝感情を感じるときは、親切にしてくれたことに対する嬉しさと申し訳なさの両方が喚起されてしまうことが指摘されています。
相川・酒井(2018)では、感謝する場面を思い出す際に「申し訳なさ」や「すまなさ」を感じることは、幸福感の向上など、感謝の持つポジティブな効果を低くすることが示されています。
お返しをしなければならない「義務感」を感じてしまう
親切にしてもらうことが「お返しをしなくてはいけない義務感があり、重荷に感じる」ということはありませんか?
こういう人も少なくないはずです。
このような気持ちの面の負担のことを心理学的には「心理的負債感」と呼びます。
心理的負債感は、「相手に借りを作ることで、その後、お返しをしなければならない」という未来のことを見据えた思いですが、感謝のほうがより望ましいと言えます。
鷲巣ら(2016)の研究では、感謝は幸せに直結するものの、心理的負債感は幸せとは直接の関連を持たないことが示されています。
感謝を言葉にして伝えることで得られるもの
感謝の感情はなるべく言葉にして相手に伝えるようにしましょう。
確かに、感謝の感情を感じること自体で幸福感の向上などの効果があるとされています。
その理由は次の2点です。
【感謝を形にしたほうが良い理由】
- よりより対人関係を築けるから
- 孤独感を下げることが出来るから
より良い対人関係を築けるから
感謝を伝えることは、より良い対人関係を促進します。
酒井・相川は、協力的な姿勢を見せた人に対し「笑顔を見せる」、「ありがとうございます」というリアクションを返すという実験を行いました。
その結果、感謝の意を示されることで「感謝された側の人」には、次のような変化があることが示されたのです。
- 感謝されることで協力行動が増える
- お互いの利益を尊重するようになる
- 感謝した人が素敵な人に思える
つまり、相手の親切に対して「ありがとう」と笑顔で伝えることで、相手から良い人だと思われ、より自分のことを尊重してくれるようになるのです。
孤独感を下げることが出来るから
感謝を表出することは、自分が孤独でないことに気づく素晴らしいきっかけとなります。
感情を表出することは、今ある相手との人間関係の価値を再認識させるという効果があります。
これと同じことが感謝にも起こるのです。
感謝を相手に伝えることは、自分のことを想って親切にしてくれた相手との関係性のありがたみを感じて安心する機会となります。
このことから、「この人のおかげで今の自分がある」、「自分は今のままでよい」と自分を肯定し、孤独感を下げることが出来るのです。
まとめ:魔法の言葉「ありがとう」を増やそう
今回は「ありがとう」という感謝の言葉が持つ力について解説しました。
記事のポイントをまとめます。
- 「感謝」はストレスの低下など幸せに繋がる感情
- 親切には、「すみません」ではなく「ありがとう」と言うべき
- 心の中ではなく、ありがとうは相手に伝えよう!
【参考文献】
- 相川充・酒井智弘(2018)『感謝体験の想起に伴う“申し訳なさ”が感謝介入の肯定的効果を妨げる現象』筑波大学心理学研究 56 35-42
- 鷲巣奈保子・内藤俊史・原田真有(2016)『感謝,心理的負債感が対人的志向性および心理的well-beingに与える影響』感情心理学研究 24 (1), 1-11
- 酒井智弘・相川充(2021)『感謝表出スキルの実行がジレンマ状況にいる感謝される側に及ぼす効果』 社会心理学研究 36 (3), 65-75
- 酒井智弘・相川充(2020)『感謝表出スキルの実行が孤独感の低減に及ぼす効果』教育心理学研究 68 (2), 111-121